最近、日常臨床における歯科臨床の内容が大きく変化してきました。これは新しい歯科疾患が登場したからではなく、歯科学の急激な進歩により原因が次々に明らかにされ、必然的に治療法が改善した結果だと言えるのではないでしょうか。
また、欠損歯の機能回復には入れ歯や固定式のブリッジよりも人工歯根(インプラント)が圧倒的に優位性を獲得するようになってきた事実があります。
歯科疾患の多くは細菌による感染症ですが、虫歯と歯周病も細菌による感染症という事実を忘れてはなりません。現代医学では細菌感染症(例えば肺炎、扁桃腺炎、虫垂炎、膀胱炎等)の治療には抗生物質を投与しますが、バイオフィルム感染症である虫歯と歯周病には特別な対処法が必要となります。バイオフィルムとは細菌の集合体であり、自ら排泄した粘着物に包まれていて、歯面に強固に付着しており、ほとんどの抗生物質をはね返し、除去することは容易ではありません。しかし、その対処法は徐々に確立されつつあり、大いに成果をあげています。
常に新しい学術知見に接して検討を加え、日々の診療に還元するよう努めております。